忘れられない患者様宅での体験
30年ほど前のこと。私の勤務する薬局近隣の整形外科に勤務されている看護師さんから、
薬が飲めてなく気になる患者様がいるとのことで患者様宅への同行の依頼を受けました。
確か7月の暑い日差しが照り付けていた頃だったと思います。
その方は、腰が曲がるほどハウス農家で頑張っていた方でおばあさんと二人で生活していました。
子供達の世帯は同じ敷地内にありましたが、仕事が忙しく両親を見る余裕がなかったと記憶しています。
無論その方も子供たちが一生懸命働いているので迷惑をかけたくないと考え、腰は痛くひざの変形も
あるにも関わらず片道3キロの道のりを自転車で週3回は整形外科に通院していた方でした。
事前に連絡して伺ったのですが、玄関で声を掛けても反応がなく、裏口にまわると納屋で
うずくまっているところを発見しました。声を掛けたのですがもうろうとしておりうつろな状態。
脱水状態を疑い急遽車に乗せてクリニックまで行き点滴処置し無事体調が回復しました。
その時、確かに感じたことがありました。
それは、日々向き合う患者様のことで、「気になる・心配になる」と直観的に感じた時に
一歩踏み込んで話を聞くことの大切さです。
この体験以降自然と想像力を働かせて自宅での生活状況を聴くようにになりました。
2000年から介護保険制度が始まりました。薬局の店頭で生活状況が気になる方は必要に応じて
介護保険サービスの話をし、アトムグループの介護支援事業所へ紹介し、自宅での生活の
お手伝いさせて頂けるよう連携をとっています。
ご高齢になられてもご自宅で安心して穏やかな生活ができるよう
これからも薬局と介護支援事業所と連携をとりお一人おひとりに寄り添いたいと思っております。