私が出会った天使たち

立春まもないブログには好ましくない書き出しですが、先日母が亡くなりました。

その母と私たち家族は、あるクリニックで最後の2週間を過ごしました。
ちょうど年末から年始にかけての、イベントの多い世の中が一番賑わう時期でした。
部屋に入ると窓に障子が誂えられ、その向こうの中庭には、クリスマスのイルミネーション! 

その障子に緊張がほぐれ、イルミネーションに驚いたことを覚えています。



そこから2週間、感染症流行真っ只中にもかかわらず

私たち家族は母とずっと一緒にいることができました。



冒頭イベントの多いと書きましたが、そこでは、クリスマスにはサンタさんやトナカイさんが現れ

年末には、スタッフのみなさんで作ったお米の藁でお正月飾りを作って入口に飾ってくれました。

新年には、おせちの朝ごはんをきちんとお正月の絵柄の和紙の上に並べて母に出してくれたり

獅子がやってきて、無病息災を願って頭をパクリとしてくれたり、すべて手作りで心のこもった

温かさでいっぱいでした。母との写真もたくさんできました。



「希望があったら何でも言ってください」と言ってくださり、患者と家族の時間を

大切に思う気持ちをとても感じました。
心地よい温かな雰囲気に、私たちは家のようなくつろいだ気持ちと母をいつでも看てもらえる

安心な気持ちで母のそばにいることができました。



母は飲み込みが悪くなっていたので、ムース状の食事でしたが、陶器の器に盛りつけられ

香りで料理の想像ができ、ちゃんと味がわかるもので、母もおいしいと食べていました。

おせち料理もしかり、そこには調理の方の思いやりを感じました。

 

モニターなどの装置はつけず、そんな機械音がないことも落ち着いて過ごすことができたように思います。

が、その分看護師さんはこまめに様子を見て下さいました。
終わりの見えている母に、いつも笑顔で声をかけて下さり、丁寧に手をかけて下さり、気持ちをかけて下さり

どんな時もバタバタすることなく、静かにきちんと看て下さった姿勢が、私たち家族も慌てることも

取り乱すこともなく自然なこととして、母の終わりを受け入れていけたように思います。

 


看護師さんと一緒に母の介助をして下さった看護助手さん、部屋をきれいにして下さった方

アロマでマッサージをして下さった方、カチカチ爪を鳴らして見回るワンちゃんとヨタヨタなのに

部屋を訪問してくれるネコちゃんには、私たち家族が癒してもらいました。
関わっていただいたすべての方々が母に私たち家族に温かく寄り添って下さったおかげで

安心して穏やかな気持ちで付き添うことができたことで、今あまり後ろを振り返らずに進むことができています。

 


亡くなった時、看護助手さんが手作りの小さなブーケを母の胸に置いてくれました。

 

 

 

 

 

 

 


母が亡くなり寂しいですが、その最後を思う度に、そこでのことを思い出し、温かな気持ちになれるような気がします。
退院のとき、ずっと笑顔で接してくださっていた看護師さんの涙に、さらに感謝の気持ちを大きくしました。